GAP 1969 MAGAZINE

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INTERVIEW

篠崎恵美
vol.11

『美しく、優美な世界観を
花で紡ぎ出す、
話題のフラワークリエイター』

東京都/edenworks
フラワークリエイター

篠崎恵美
MEGUMI SHINOZAKI

渋谷

日本各地で活躍する人々の個性にスポットを当てる『INTERVIEW』シリーズ第11弾。今回は、ドラマティックで大胆、どこか物語を感じさせる花の世界をつくりだす、注目のフラワークリエイター、篠崎恵美さんをご紹介。モノづくりをしたいと思いながらも人前に出ることが苦手だったという彼女が、お花と出合い、人生が劇的に変わっていく、その道のりをたっぷりと語ってくれました。

Photo:ARI TAKAGI Text:NORIKO OBA
Edit:RHINO INC.

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ファッションの道を模索した20代のころ。

── 幼いころのお花にまつわる記憶やエピソードは何かありますか?

それが、あまり…いや全然ないんですよ。母がお花好きだったので、年中庭の花を家に飾ってはいましたが、それが当たり前にある環境だったので、お花に対して特別に何かを思ったり、興味をもっていた記憶もないんです。

── それは意外です。

母からすると私がこの仕事をしているのは不思議なようで、「あれ、お花にそんなに興味あった?(笑)」と言われます。

── いつ、どのようにお花が篠崎さんの人生に登場するのか、楽しみです。

高校生のときは、音楽やファッションが大好きだったので、そういう方向に進めたらいいなと思い、そのころ仲良くしていた先輩の影響もあり、卒業後は先輩と同じ服飾の学校に行きました。

でも、学校では思うようにはいきませんでしたね。当時から、思いやアイディアを形にする仕事をしたいとは思っていましたが、根本的な問題として、私は人の目を見て話すことも苦手なくらい内向的な人間で…。制作物を人前で発表したり、自分の想いを誰かに伝えたり、共有するというのは、本当にハードルが高かったんです。

発表するのが苦手だったのは、性格だけの問題ではなくて、自分の作品に自信がなかったことももちろんあります。服を着ることや音楽を聴くこと、音楽の背景にファッションがあったり、そういうつながりを考えたり、知ることも大好きだったけれど、私のつくりたいオリジナルはこれ、というモノは探せませんでした。でも、悶々とした想いを抱えたまま、結局ファッション関係の企画をする仕事に就職したんですけどね。


気になる店を見つけ立ち寄ってみたら…運命が動き出す。

── ということは、就職してから転機が訪れるのですか?

就職して半年くらい経ったころかな。ある日、弟とバイクで三宿を走っていたら、森のようにも見える、緑が生い茂ったガーデンが見えたんです。そのガーデンのなかにアンティーク屋さんが入っていて、気になって立ち寄りました。ここが運命の分かれ道だったと思います。

中へスタスタと入るや、最初に目に飛び込んできたのは、レジ横に置いてある乱雑に切ったダンボール、そこにラフに書かれた「スタッフ募集」の文字。それを見て、本当になぜだかわかりませんが、「スミマセン、働きたいんですけど」と声をかけていました。お店に入ってすぐ1、2分の出来事です。

── それは…すごい。直感ですか?

何だったんでしょうね……自分でもわかりません。店内を見まわすこともなく、弟がバイクを止めて店に入って来たときには、面接の日取りを決めていましたから(笑)。弟もすごく驚いていましたが、自分でも我ながらびっくりです。お花屋さんの仕事内容も知らなければ時給も勤務時間も知らず、決めていました。

ただ、もしかしたらそのときだけの盛り上がりかもしれないと思い、1日、2日寝てみましたが、起きても「やっぱり働きたい」と思ったのも不思議ですね。

── ここでお花との接点が。

はい、店には6年半くらいいました。未経験で入ったのですが、ちょっと不思議な子だと思われていたのか、誰からも何もおしえてもらえない日々が続いたんです。市場の仕入れにも客先にも連れていってもらえず、何をするかといえば、ずっと店番(笑)。そのときに、私の掘りさげたいクセというか、興味があることはとことん知りたい欲が出てきたというか、お花についていろいろ本を読みあさっては、店の庭で実験をしていたんです。「本にはこう書いてあるけど、本当だろうか」と、疑問が浮かんでは庭でそれを解決して、と試していました。

── 庭で実験しながら店番をして、と。

そう。ここで新しい人間関係ができたんです。お店にはミュージシャンやファッション関係の方がたくさんいらっしゃるのですが、いつも私が店番なので(笑)少しずつ話をするようになって。今でもおつきあいのある、スタイリストの熊谷隆志さん、charaさんとはここで出会いました。

── 昔は人の目を見て話すのも苦手だったとのことですが、接客は大丈夫でしたか?

それが、自分が庭で行った実験結果をお客さんにお伝えするときは、すごくリラックスして、お伝えできたんですよ。私もお花に関して素人だからこそ、お客さんとある意味同じ目線というか、「こういう風に育てたらうまくいきましたよ」とか「あの花とこの花は相性いいみたい」など、お花を通したら、人が変わったかのようにしゃべれて、想いを共有できたんです。

── 篠崎さんが好きなファッションや音楽関係の人と、お花でつながっていったんですね。

はい。人生も性格も、すべてを変えてくれたお花には感謝しかありません。