GAP 1969 MAGAZINE

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INTERVIEW

「SEE SEE」製作のプロダクト第1弾。個性的な存在感で、注目を集めた。

完成品を見たときは驚きましたね。挽物師の彼が相棒でなければ、SEE SEEはここまでこれなかったと思っています。触ってもらえばわかりますが、彼のつくる挽物は本当に艶があってなめらかで、ほかとまったく違うんですよ。

── 挽物という工芸と西海岸のテイストの相性のよさにも驚きます。

製作していくなかで、挽物の歴史についてもいろいろと調べたのですが、かつて日本は挽物技術をつかって、こしょう挽きやドアノブなどをアメリカに輸出していたこともわかって。昔からつながりがあった組み合わせですが、やはり大量生産の波に乗って技術が衰退してしまった。ならば、今度は自分たちがハンドクラフトでそのふたつを組み合わせて、いいプロダクトをつくっていこうと。

アメリカといえば”ビール”、そこからインスピレーションを得たフラワーベース「BEER BOTTLE」

── ひとつ目の商品が完成して、それをどのように売っていったんですか?

僕も最初は、商品は完成したものの、これをどうやってビジネスにしたらいいんだろうと不安に思っていましたが、けっこう短期間にいろいろな話が決まったんですよね。

セレクトショップのディスプレイにエンブレム型の二輪刺しが使われたり、そのあとすぐ大手セレクトショップでのお取り引きが決まったりと、すごくラッキーな流れだったと思います。


スケートボード型の二輪刺しで一気に注目を集める!

── そんななかで、SEE SEEの名前を一気に広めるきっかけとなったスケートボードのフラワーベースが生まれます。

これは、静岡のキャンプ場にいるときにアイディアが出てきたんです。キャンプ場のビジュアルづくりのお手伝いをするかたわら、何ヶ月間か管理人のような形で、過ごしていたんです(笑)。大自然に囲まれたなかで膨大な時間を過ごすうちに思い浮かんだのが、スケートボード型のフラワーベース。帰ってすぐに相方の職人と相談したら、彼も「おもしろい!」と言ってくれて。

SEE SEEの作品 「60 Skateboard」

Photo_SEE SEE

── 思いついたとき、アイディアはどこかに書き留めておくのでしょうか?

メモもアイディア帳も何もないです。今、頭のなかにデザインのアイディアはたくさんありますが、どこにも書き残していません。

── そうなんですか?!では、湯本さんのデザインを職人さんに伝えるときは…

口頭です。自分の頭のなかにあるアイディアやイメージを言葉で伝えて、彼がそれをもとに完成させて、そのまま1発でOKとなるときもあれば、そこから何度もやり直しをすることもあります。自分がこれまでストリートで吸収してきたものを、伝統工芸と組み合わせてアウトプットして、新しいプロダクトにする、そのやりとりが全部口頭でできるという意味でも、僕の相棒は彼以外に考えられないですね。

西海岸の音楽やアートなど、ストリートカルチャーのさまざまな背景が、ひとつのフラワーベースから見えてくることに、おもしろさを感じますし、そこを感じてもらえたらうれしいです。今、頭のなかにデザインはいっぱいありますが、メモに残したり、デザインに起こすこともしないですね。

アメリカのコーヒーカップにインスピレーションを受けたブックシェルフ型のフラワーベース「GrandeCoffeeBookStand」

── SEE SEEを立ち上げてから、これは大きい壁だと感じたりやめたいと感じたことはありますか?

毎回新しいものをつくるたびに、形にする難しさや壁はあって、完成してもこれは受け入れられるのかと不安になりますが、このときが特につらかった、みたいなことは…ないんじゃないかな。僕らがつくっているものは消耗品ではないし、フラワーベースは生活になくても困らない、大量生産はできないモノをつくっていくなかで、どうしたら一家にひとつ置いてもらえるだろう、もっと浸透するだろうと考えることは難しくもあり、楽しくもあります。

イメージとしては、自分たちが死んだあとに、海外のフリーマーケットで子どもたちがSEE SEEのモノを見つける、そんなアンティークとしてのプロダクトになったらいいと思っています。

さまざまなアーティストとコラボしている「Drawing Daruma」シリーズ

── なんどもお話にでてくる職人の「彼」について教えていただけないのでしょうか(笑)

それは…ちょっとまだお伝えできないのですが(笑)、今回は、制作過程の一部を相棒に説明してもらいましょう。

どうも。SEE SEEの製作担当です。挽物は、旋盤やろくろを使って木を丸く加工して完成させる工芸。まずはこの旋盤。木材を取り付けて、機械を回転させ、刃を当てて削ります。

旋盤をつかって削る作業

削る際には、機械に強弱のメモリがついているわけでもないので、ここに技術が必要となります。今、僕は木の感じを感覚で感じながら、要所要所で力の加減を変えて丸くしているのですが、これは体で感じて、感覚をつかんでいくしかないんですね。ひとりで挽けるまでに時間がかかるので、今、手で挽くことができる職人がどんどん減っているという現状もあります。

サンドペーパーで磨く作業

そのあと、なめらかな質感や艶を出すためにペーパーで磨きます。挽き物には、ペーパー専門の職人さんもいるくらい、この作業も細やかな感覚を使います。艶に関しては塗装でごまかせたりもするので、最近では塗装した製品も多いですね…。でも、SEE SEE のプロダクトは、純粋な木目の感触を味わってもらいたいので、塗装はいっさいナシ。そのためにはこういったペーパーの作業で、なめらかさを引き出すことがすごく大事なんです。

ろくろの作業。器やお盆などを加工するさいに使う。「10年の修業期間を経て、ようやくひとりで挽けるようになった」とのこと。

挽き物は、板の状態では決して見ることのできない、球体ならではの美しい木目の出方を楽しめる、そこが魅力だと思いますね。