GAP 1969 MAGAZINE

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INTERVIEW

Qrion
vol.5

『アメリカの
ストリートで吸収したデザインを
静岡の工芸と融合させ、新たな
プロダクトが完成!』

静岡県/SEE SEE代表

湯本弘通
HIRO YUMOTO

静岡

アメリカ西海岸のストリートカルチャーと、地元静岡の希少な伝統工芸“静岡挽物”を融合させ、フラワーベース(花器)に特化したプロダクトを発表している「SEE SEE」。サンフランシスコに魅了された湯本さんが、どのような道のりをたどって、ブランドを立ち上げたのか。その経緯や発想の源、今想っていることなど、御伺いしました。

Photo:ARI TAKAGI Text:NORIKO OBA
Edit:RHINO INC.

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「サンフランシスコと静岡って、似てるんです」

── 湯本さんが立ち上げたSEE SEE(シーシー)の商品は、伝統工芸である静岡挽物の技術とアメリカ西海岸のカルチャー要素が融合していることが特徴ですよね。その発想に辿り着くきっかけについて教えてください。

SEE SEEを立ち上げる前、静岡のセレクトショップでバイヤーをしていたとき、買い付けのために頻繁にサンフランシスコに通っていたことがすべての始まりだと思います。サンフランシスコの街の空気感やライフスタイル、アート、ファッション、音楽すべてに魅了されました。

サンフランシスコで撮影 Photo_SEE SEE

── そこまでのめり込んだのはなぜでしょう?

うーん、サンフランシスコの空気感って、地元の静岡に似ているんですよね。どこか知っている感じもして、でも、西海岸独特の色遣いやテイストに新鮮さも感じて、その両方があるからこんなに惹かれるのかもしれないですね。そのあと、バイヤーを経て、次にバリスタとしてカフェバー「SUN FLOWER COFFEE」をオープンさせたのですが、このときも自分の好きなアメリカ西海岸のテイストを前面に出した空間にしました。

味のあるウッド調の店内に、コンクリート打ちっぱなしの天井、ハンガー型の照明が飾られるなど、細部にまで湯本さんのこだわりが詰まった空間。「SUN FLOWER COFFEE」の店内。 Photo_SEE SEE

── 照明の雰囲気やインテリア、全体の雰囲気がまさに、ですね。

ここは自分でもすごく気に入ってました。カフェには、口コミでいろいろな人が来てくれたのですが、東京からも某大手セレクトショップ社長さんが来てくれたり、「あの静岡にあるカフェの空気感を見てきたほうがいい」と、部下の方も訪ねてくれたり、うれしかったです。

── SEE SEE立ち上げの前にすでに、バイヤーとしてもバリスタとしても、アメリカ西海岸に深くかかわっていたんですね。

そうですね。このふたつの経験がなかったらSEE SEEは生まれていなかったと思います。


10年来の知人だった挽物師と「SEE SEE」をスタート!

── でも、買い付けや空間づくりを行っていたところから、どうして今度はモノづくりの方向へいったのでしょうか? 何かきっかけがありましたか?

サンフランシスコにいるときに、廃材でつくった鹿のオブジェを見つけて、それがすごくかっこよくて、しかも「これならつくれそうだな」と安易に思ってしまって(笑)。でもまぁただ真似してつくっても仕方ないので、鹿というテーマで、自分なりにアレンジしてデザインしてみたんです。

そのときに、ふと、10年来の知人である職人の“挽物師”の顔が浮かんで、「自分がデザインしたものを、彼の挽物の技術で表現したらおもしろいんじゃないか、彼に頼んでみよう」とそのときはほかに選択肢がないくらい、ピンときました。

── アメリカ西海岸と静岡挽物の組み合わせが誕生した瞬間ですね。

エンブレムをかたどったなかに、フラワーベースを置いてそこに花を挿す。デザインしたときは、ふたつのフラワーベースにそれぞれ桜の枝を挿したら、最初にイメージしていた“鹿”になるな、と考えていました。

挽物は、旋盤やろくろを使って木を丸く加工して完成させる工芸なので、立体である“フラワーベース”というプロダクトは、挽物の美しさを生かすにもぴったりでしたし、最後に、購入した人が“花を挿す”という、日本の伝統芸術である行為を加えることで、アイテムが完成するのもいいと思いました。

エンブレムとフラワーベースを組み合わせた「Nirinzashi」

Photo_SEE SEE